制度・義務の基本

黒ナンバーの法改正(2025年4月施行)で何が変わったか

義務が一度に増えたため、全体像を見失いやすい改正です。何が課され、いつまでで、何を残すのかを一覧にします。

公開:2026年8月6日 最終更新:2026年8月6日 出典:国土交通省

この記事の内容

  1. 結論:一人親方にも安全管理体制が求められる
  2. 何が変わったのか
  3. 期限は2つある。混同しない
  4. 記録の保存期間が種類ごとに違う
  5. 一人事業者が最初にやる3つ
  6. よくある質問

1. 結論:一人親方にも安全管理体制が求められるようになった

2025年4月1日に施行された改正貨物自動車運送事業法(改正物流法)により、 貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)にも安全管理体制の整備が義務づけられました。 車両1台、従業員なし、副業での稼働であっても、免除はありません。

これまで黒ナンバーは、緑ナンバー(一般貨物自動車運送事業)と比べて規制が緩やかで、 車両1台から届出だけで開業できる制度でした。その参入のしやすさが EC の拡大にともなう配送需要を支えてきた一方で、事故件数の増加という問題を生みました。 今回の改正は、その対策として緑ナンバーの「運行管理者」に相当する仕組みを持ち込んだものです。

2. 何が変わったのか

項目内容期限
貨物軽自動車安全管理者の選任 講習を受けた者を選任し、運輸支局へ届出。選任後は2年ごとに定期講習 2027年3月31日(既存事業者)
指導監督・特別な指導 年1回の一般的な指導監督(12項目)、初任・高齢・事故惹起運転者への特別な指導 2028年3月31日
適性診断 初任・適齢(65歳以上)・特定の運転者が対象 2028年3月31日
運転者等台帳 法定5項目を記載して備え置く 施行済み
事故の記録・報告 法定6項目を記録。重大事故は30日以内、特に重大な事故は24時間以内に速報 施行済み

加えて、以前から求められている点呼・日常点検・業務記録(運転日報)が引き続き必要です。 改正で新たに加わった部分だけを見ていると、足元の記録が抜けたままになります。

3. 期限は2つある。混同しない

2027年3月31日=安全管理者の選任・届出の期限
2028年3月31日=指導監督・特別な指導の期限
この2つは別の期限です。「2028年まで猶予がある」と誤解すると、安全管理者の選任に間に合いません。

2025年4月1日以降に新規開業する場合は、経過措置の対象外です。 事業開始までに安全管理者の選任が必要になります。

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4. 記録の保存期間が種類ごとに違う

この制度で実務的に一番ややこしいのが、記録の保存期間が揃っていないことです。

記録内容保存期間
点呼記録乗務前後の酒気帯び確認、健康状態、指示事項1年
業務記録(運転日報)法定8項目。荷待ち・荷役の記録を含む1年
事故記録法定6項目。原因と再発防止対策まで3年
指導監督の記録年1回の一般的な指導監督、特別な指導3年
運転者等台帳法定5項目。初乗務日、事故歴、適性診断の受診状況等備え置き
実務的なコツ:1年と3年が混在しているため、紙で運用していると 「どの束をいつ捨ててよいか分からない」状態になります。結局すべて残して探せなくなるのが典型的な失敗です。 記録の種類ごとに保存期限を自動で管理しておけば、監査のときに必要な分だけを取り出せます。

5. 一人事業者が最初にやる3つ

全部を一度にやろうとすると手が止まります。順序をつけると次のようになります。

6. よくある質問

副業で月に数回しか走っていない場合も対象ですか?

対象です。稼働日数や売上規模による免除はありません。貨物軽自動車運送事業の届出をしている以上、義務が生じます。

やらなかった場合、どうなりますか?

罰則や行政処分の対象になり得ます。ただし実務上より重いのは取引への影響です。 元請や配送プラットフォームは委託先のコンプライアンス状況を確認するようになっており、 記録を提示できないことが取引停止の理由になり得ます。月の売上が止まる損失は、罰金より大きくなります。

どこで正式な情報を確認できますか?

国土交通省の公表資料が一次情報です。個別の判断は、管轄の運輸支局にご確認ください。 本記事の内容は2026年8月時点の公表資料に基づいています。

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出典

  1. 国土交通省「改正貨物自動車運送事業法(令和7年4月1日施行)について」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_mn4_000014.html
  2. 国土交通省「統計情報(自動車関係)」 https://www.mlit.go.jp/statistics/details/jidosha_list.html
  3. 国土交通省 関東運輸局「貨物軽自動車運送事業者数及び車両数の推移」 https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/content/000283375.pdf
  4. e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/