1. 一人でも点呼は必要です
「相手がいないのに点呼とは?」というのが、最初にぶつかる疑問だと思います。 結論から言えば、一人事業主でも点呼は必要です。
貨物軽自動車運送事業の届出をしている一人事業主は、実質的に次の三役を同時に担っています。
| 役割 | 点呼における立場 |
|---|---|
| 事業者 | 点呼の実施体制を整え、記録を保存する責任者 |
| 貨物軽自動車安全管理者 | 点呼を行う側 |
| 運転者 | 点呼を受ける側 |
つまり「自分で自分に点呼をして、自分で記録して、自分で保存する」という運用になります。 形式的に感じるかもしれませんが、これは監査や元請の審査で実際に提示を求められる記録です。
2. 何を確認して、何を記録するのか
点呼で確認する中心は、安全に運転できる状態かの一点です。
- 酒気帯びの有無 — 点呼の最重要項目です
- 健康状態・疲労の程度 — 睡眠、体調不良、服薬の有無など
- 日常点検の実施状況 — 車両側の確認(次章)
- 運行の安全確保に必要な指示事項 — 天候、道路状況、注意点など
3. 業務前と業務後、2回あります
点呼は業務の開始前と終了後の2回行います。 片方だけの記録になっているのは、監査で指摘されやすい典型的なパターンです。
| 主な確認内容 | |
|---|---|
| 業務前点呼 | 酒気帯びの有無、健康状態、日常点検の実施、運行上の指示 |
| 業務後点呼 | 酒気帯びの有無、運行の状況、車両の異常の有無、事故・違反の有無 |
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4. 日常点検(14項目)との関係
点呼で「日常点検を実施したか」を確認しますが、日常点検そのものは 道路運送車両法にもとづく別の義務です。点呼記録とは別に、点検の記録も残します。
国土交通省の日常点検表の例に沿うと、代表的な点検項目は次のとおりです。
| 区分 | 点検項目 |
|---|---|
| ブレーキ | ペダルの踏みしろ・効き、ブレーキ液の量、パーキングブレーキの引きしろ |
| タイヤ | 空気圧、亀裂・損傷・異常な摩耗、溝の深さ |
| 灯火 | 灯火装置・方向指示器の点灯/点滅、レンズの汚れ・損傷 |
| 原動機 | ウインド・ウォッシャ液の量、冷却水の量、エンジン・オイルの量、かかり具合と異音、ファン・ベルトの張り・損傷 |
| その他 | ウォッシャの噴射状態、ワイパーの拭き取り |
毎日すべてを厳密に測るというより、異常がないかを目と手で確かめて記録に残すのが実務です。 走行距離や使用状況によって点検の頻度が変わる項目もあるため、車両の取扱説明書もあわせて確認してください。
5. 記録の保存期間
点呼記録簿・日常点検表は、監査や元請審査で提示を求められる書類です。 点呼記録は1年の保存が求められます。運転日報も1年、事故記録と指導監督の記録は3年と、 種類ごとに期間が異なる点に注意してください。
6. よくある質問
点呼を忘れた日はどうすればいいですか?
後から実施していない点呼を記録することはできません。事実と異なる記録は、 発覚した場合により重い問題になります。忘れた事実を残し、翌日以降に確実に実施する運用へ切り替えてください。
家族に点呼をしてもらってもいいですか?
点呼を行うのは貨物軽自動車安全管理者です。家族を安全管理者として選任している場合は、その方が行います。 選任していない家族が行っても、要件を満たす点呼にはなりません。
アルコール検知器は必ず必要ですか?
機器の使用要否は事業区分によって定めが異なります。自身の事業でどこまで求められるかは、 管轄の運輸支局にご確認ください。使用する場合は、測定値を記録に残します。
点呼記録は紙でないといけませんか?
記録として必要な項目が満たされ、求められたときに提示できる状態であることが要点です。 電磁的な記録による保存の可否・要件については、管轄の運輸支局にご確認ください。
続かない記録は、無いのと同じ
紙の様式に手書きすると1回2〜3分かかり、疲れている日ほど飛ばします。入力を数タップに絞れば、続きます。記録は端末内にのみ保存され、サーバーには送信されません。
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出典
- 国土交通省「改正貨物自動車運送事業法(令和7年4月1日施行)について」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_mn4_000014.html
- e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/
- 国土交通省「統計情報(自動車関係)」 https://www.mlit.go.jp/statistics/details/jidosha_list.html